あきと

『むずかしいことをやさしく,やさしいことをふかく,ふかいことをおもしろく,おもしろいことをまじめに,まじめなことをゆかいに,ゆかいなことをいっそうゆかいに』

落合陽一「日本に住む若者たちへ」(2018年10月26日)

僕は肌感覚は優れたタイプなので割と言っていることは案外、正しいことが多かったりします。しかし意味が分からないこともよくあります。

大学はインストラクション(指示) が丁寧ではないというところがすごく面白いと思っていて、自分で考えさせるためにわざと変化球を投げて丁寧に説明していないことが多いです。つまり会社だったら直接その人から案件を巻き取って資料を埋めてしまえばすぐ終わる話だったりする訳ですけど実際、実社会はそうやって回っているんですが大学というのはフェアなんですよ。相手の考える力を馬鹿にしない。こっちから丁寧にものを言い過ぎない。対等に扱っていい訳です。会社だったら社員と経営者は全然違っていて、経営者は経営者のやるべきことがあって社員は社員で指示されて然るべき地位なんです。インストラクションを丁寧に説明された上での労働条件があってその労働条件に合って働いていれば給料が貰える状態なわけです、普通は。なんだけど大学というのは僕と君たちはフェアですから、僕が「それ違うんじゃないの?」と思ったら「違う」と言う。それでググって調べて食らいついて勉強するのは多分、正しいプロセスでそれはスパルタでも何でもなくて「ナメてない」ということです。

大学の先生は学生のことをナメがちなんですけど、ナメてかかっていいことは何もないんですよ。ナメてかかって育たなくて、いなくなっちゃったらそれはそれでしょうがないんですけど。

幸いなことにうちのラボの最も良い所は「皆のやる気がある」というところです。やる気のある人の周りにいたらやる気が出てくる。やる気のない人がいるなと思ったらやる気にさせるのがポイントだと思います。「こいつをやる気にさせるにはどうしたら良いだろう?」と考えるのは僕も常日頃から考えるんですけど、すごく面白いと思います。僕が筑波大学でラボを持った時に小笠原さん(DMM.make)という人がいて約束したことが1つあって「最低50人は人間を育てます」と。「50人育てたら世の中ちょっと変わると思います」って言っていたんですが今、幸いなことに40数人はいます。その内「50人」に匹敵する人が何人いるか分からないけど多分、来年度になったらちょうど50人全部が埋まるくらいになると思うんですね。そこから社会にワークする人をどれだけ輩出できるのかというのが僕の勝負だと思っています。

日本の環境っていうのは外から見ると良くなさそうに見えるんですけど、やる気のある人とか運の良い環境にいる人にとっては圧倒的に楽勝プレイです。これは覚えておいて下さい。コンペティター(競争相手)が誰もいないから。この環境には誰もいない。この業界に競争相手がいないようなラボが数個しかない、日本という狭い国には。幸いなことにバブル期の遺産と高度経済成長期の遺産があって我々はそれを使って全力投入してスゴいモノを作ることができるので、それを環境を生かしながらうまくやっていければいいんじゃないかなあと思います。それは地方創生も色んな事もそうです。