あきと

『むずかしいことをやさしく,やさしいことをふかく,ふかいことをおもしろく,おもしろいことをまじめに,まじめなことをゆかいに,ゆかいなことをいっそうゆかいに』

河野太郎「もし総理大臣になったら1番にやりたいのは年金改革」

私が1996年に初当選して97年から年金改革の議論提案をずっとやってきたわけですけど今は「年金制度は将来にわたってマクロ経済スライドを入れたから維持可能だ」と言われています。まぁ今、マクロ経済スライドだって中々、発動できなかったりということがありますからちょっとそこもどうなの?というところでありますが、私が問題にしているのは「守るべきは年金制度なんですか?」ということ。

今の年金制度だと、どんどんマクロ経済スライドで年金の金額が小さくなってしまって今、若い人たちが年金を貰う時期になった時にじゃあ年金っていくら貰えるの?と。ほんのちょっとの年金が出ても「年金の制度に基づいて支払っているから年金制度は盤石です」と言ってみてもそれで生活できないよというような年金だったら意味がないんじゃないかと私は思っています。だから守るべきは年金制度じゃなくて「将来の年金生活が守られているのかどうか」を議論しなければならないと私は思っています。そのために年金制度の改革をきちんとしていかなければならない。

私は年金っていうのは3階建てがいいんだと思っています。1階部分はとにかく最低限この年金を保障しますという「最低保障年金」つまりもう全く他になくてもこの年金だけはきちんと保証するよ、この金額だけは必要な人に保証するよっていうのが1階部分にいなければいけないんだろうと思っています。そう言うと「いやいや今でも基礎年金ありますよ」って言われるんですけど、今の基礎年金は皆さんから頂く保険料でやっています。例えば今、収入が少なくて年金保険料が払えないという人。保険料を払わないとその部分は将来、年金が貰えないんです。その部分が削減される。或いは今、何が起きているかというと「所得が無くて保険料が払えないんだったら免除します。免除だと半分もらえますよ」っていうんでどんどん免除してるんですけど、免除だとその半分しか将来その分はカウントされません。ですから所得が少なくて未納になったり免除になったりする人は将来の年金がその分、減ってしまう訳です。免除されたから良いというものでは決してありません。そうすると本来、最低保証するはずの基礎年金の金額が減らされてしまいます。それで本当に生活を支えられるのかというと、とても支えられない。じゃあどうなるかというと生活保護を受けることになる。生活保護になると医療費が免除になったり、ひょっとすると金額もそっちの方が良いかもしれない。じゃあ何も無理して基礎年金の保険料は払わなくていいんじゃないかということにどうしてもなってしまう。だから私はその部分は直さなきゃいけないと思っていて、最低限必要な年金を必要な方に配るんだったらそれは保険料を貰うんじゃなくてやっぱり税金で対応しますということにしなければいけないんだと思います。そうすると皆さんから税金を貰ってますから本当に最低保障年金の受給資格が出る方には年金を支払うことができます。これが保険料だと保険料を貰わないと年金が出せませんということになりますし、他に収入がたくさんある人も「保険料を払ってるんだからその分の年金は私にも下さい」ということになります。最低保障年金ですから他に収入や資産がある時にはその部分は出せませんよ、と。しかしその収入や資産が無くなって必要になったら必ず最低保障は出しますということにするのが最低保障年金の意義だと思っています。だったらそれは保険料と1対1ではなく、これは税金でやります。その代わり、一定の収入や資産がある方には出しませんよということに1階部分はさせていただきたい。

そして2階部分は現役世代の生活をなるべく近い形で老後を送れるようにするために所得に応じて保険料を払っていただく。私はそれを国に払うのではなく、それぞれ個人が自分の年金口座に積み立てていく。そしてある程度、自分の判断で色んな運用ができるようにしておく。ちょうど今のNISA、iDeCoというシステムがありますけどもそこは税金をかけません。そこは所得税もかけずに口座に入れておいて下さい。その積み立てた分と金利あるいは投資のリターンを年金口座の中に積み立てていただき、例えば平均寿命が85歳、65歳で引退したらリタイヤして年金を貰おうという時の平均余命で積み立てた分を割った金額を国が責任を持って出しますよ、ということをやっていく。その代わり平均余命20年だけど実際、自分が何歳まで生きるのかってのは誰にも分かりませんからその分のリスクは国がきちんと見ます。だから65歳で引退して平均余命が20年だったら積み立てた分の20分の1ずつを毎年、年金として支払います。その代わり平均余命の前に亡くなった場合にはその年金口座に積み立ててあるものは相続の対象にならずに国が貰って平均余命より長く生きた人に引き続き年金を払うための財源にさせて下さいね、ということをあらかじめ承知して頂いて自分の生きている間は積み立てた分の原資とした年金を2階部分として支払う。その2階部分が一定以上の金額になっているんだったら、最低保障年金は支払いを止めますよ、ということをやらせてほしいと思っております。

いくつか問題があって「じゃあ1階部分は何を原資にするんだ」私は1番分かりやすいのは消費税を財源にするのが良いんだと思っています。というのは最低保障年金をいくらにするのか。この金額だったらそれをカバーするのに消費税は〇%っていうのが自動的に決まります。「消費税は高すぎない?」と言うならば例えば最低保障年金を貰える収入を少しずつ下げていく。或いは最低保障年金の金額を下げてみる。或いは資産がこれくらいある人は対象にしません、という金額をちょっと大きくするか小さくする。色々、調整することによって最低保障年金の対象になる人を絞る。或いは最低保障年金の金額が決まってくる。それと消費税を1対1で対応すると「まぁそれくらいなら納得できるかな」という議論ができるかもしれません。これを「税金全体でやります」と言うと「それならもう少し年金の金額を増やしてくれ」という議論になってしまうんではないかなと思っています。

だからまず1階部分は税で最低保障をやる。2階は自分の年金口座に積み立てていただいて国がそれを保障する。

よく最近、若い人に「年金いらないから返してくれ」とか「年金制度はやめよう」と言う方がいらっしゃいますけど私は公的年金をやめることはできないと思っています。やっぱり若いうちは年金のことをあんまり考えない人が多いので「自分で何とかするよ」と言ってもあまり若いうちに考えてなくて年齢が高くなってきて「やべーそろそろ」と言ったんでは手遅れになってしまう。というのと平均余命は分かっても一人ひとりが何歳まで生きるのかは分からない。そのリスクをカバーするのは国がやるしかないんだろう、と。

だからそうやって税の部分と保険料の部分の2階建て。そして3階部分は民間でやっている年金保険に任意で加入してくださいということになるんじゃないかなと思っています。そうすると問題は今、現役世代は先輩方の厚生年金の財源を払っている賦課方式ですから自分のために積み立てている訳ではありません。これが例えば「2025年からそういう方式に変えます」と言うとその時から私はもう58ですからあまり積み立てる期間はないかもしれませんが、今までは賦課方式で先輩の財源を負担していた。